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開催日:2016年6月25日(水)~9月24日(土)

四國五郎展 シベリア抑留から『おこりじぞう』まで

相生橋 1984年

峠三吉のガリ版『原爆詩集』(1951年)の表紙絵や絵本『おこりじぞう』(1979年)の挿絵を手がけるなど、広島で「反戦平和」を見つめながら表現活動を続けた画家・四國五郎(1924~2014)。

1944年に徴兵されてシベリア抑留を体験し、1948年の帰還後は峠三吉らとともにサークル誌『われらの詩』の刊行や、反戦詩と絵を一枚の紙に描いてゲリラ的に街頭に貼ってまわる「辻詩」の活動を展開。
1950年10月、丸木夫妻の《原爆の図》全国巡回の出発点となった広島での展覧会を支えたのも、峠や四國ら「われらの詩の会」の仲間でした。その後も「広島平和美術展」を組織・運営しながら、原爆や母子像をテーマにした絵画や絵本を描き続けるなど、生涯をかけて「平和」への思いを貫きました。

今展では、シベリア抑留時代のスケッチから、被爆死した弟の日記、峠三吉や丸木夫妻との交流を示す資料、辻詩、絵画、絵本原画などを紹介し、四國五郎の遺した幅広い表現とその意味を振り返ります。


辻詩 なぜに 1950年

原爆の図丸木美術館での四國五郎展へのメッセージ

「原爆の図丸木美術館」に常設されている丸木位里・赤松俊夫妻の「原爆の図」と一緒に四國五郎の作品が展示されるのは、なんともすばらしい機会である。

この三人の作品は、単に1945年8月に日本に投下された原爆の恐ろしさを思い起こさせるだけではない。戦争と平和がいかに絡み合っているかということを作品を観る者の心にうったえてくるし、創造性豊かな三人の作品から私が個人的に受ける忘れがたい印象は、美と創造性と平和、さらには人間の命の大切さの深淵な確認ということである。

私は、1980年代に、丸木美術館を幾度も訪ねたが、それが丸木夫妻に関する英語の本とドキュメンタリー映画製作へとつながった。
広島・長崎原爆投下60周年にあたる2005年には、四國五郎の見事な絵で描かれた被爆者証言を、当時私が勤めていたマサチューセッツ工科大学の援助で運営するネットサイトに載せることができた。
日本の丸木夫妻と四國五郎の作品には、他には類がない密接な関連性が見られる。三人の作品は、核戦争というものがいったいどんなものなのかを世界中の人々に思い起こさせる上で、特別な力強さを持っている。

私の祖国である米国でも、また日本でも、軍国主義が再び台頭しつつある今、四國五郎と丸木夫妻の芸術作品は、今まで以上に緊迫性をもって私たち一人一人に語りかけてくる。

2016年3月21日
ジョン・ダワー(マサチューセッツ工科大学名誉教授)
翻訳:田中利幸


アルムリ地区ゴーリン病院「最初の一枚」 1997年

おこりじぞう 1979年

会期中のイベント

オープニング・トーク 「四國五郎という画家がいた」
○6月25日(土)午後2時
 出演:四國光(四國五郎長男)、永田浩三(武蔵大学教授)
 ご長男である四國光さん、今夏に『ヒロシマを伝える~詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち~』(WAVE出版)を刊行予定の永田浩三さんをお迎えして、生涯をかけて原爆・平和を描き続けた四國五郎の人となりや仕事についてお話し頂きます。

丸木美術館ひろしま忌
○8月6日(土)
 午後2時 城西川越中学・高校 和太鼓演奏
 午後3時 木内みどり 絵本『おこりじぞう』朗読
 午後4時 坂田明ジャズライブ
 午後6時 ひろしま忌の集い・とうろう流し
 原爆で亡くなられた方々の霊を悼む、丸木美術館ひろしま忌。四國五郎が挿絵を描いた『おこりじぞう』を女優の木内みどりさんが朗読して下さいます。坂田明さんのジャズライブ、城西川越中学・高校の和太鼓演奏、都幾川でのとうろう流しも行います。出店やフリーマーケット、工作教室などもありますので、一日ゆっくりお過ごしください。

対談「四國五郎の画業を貫くもの」
○9月3日(土)午後2時
 出演:川口隆行(広島大学准教授)、小沢節子(近現代史研究者)
 連合国軍占領下、そして朝鮮戦争がはじまり言論統制の厳しい時代の広島で、峠三吉とともに展開した「辻詩」活動。その活動の意味を検証しつつ、1970年代「市民の描いた原爆の絵」の募集に関わり、自らも新たな表現を模索していった四國五郎の画業について、丸木夫妻との交流や《原爆の図》との比較考察を踏まえて、振り返ります。


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