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企画展終了

開催日:2015年7月18日(土)~9月12日(土)

福島菊次郎写真展 原爆と人間の記録

被爆70年の夏、丸木美術館では特別展示「発掘!知られざる原爆の図展」とともに、94歳の報道写真家・福島菊次郎さん(1921年~)の写真展を開催いたします。
この写真展は、福島さんが自ら手づくりしたパネルの中から、「原爆と人間の記録」(28枚)、「ピカドン」(24枚)、「原発が来た」(22枚)の3つのシリーズを紹介するものです。これらの自作パネルは、1989年以降、常に「遺作展」の覚悟をもって制作したもので、実際に「福島菊次郎遺作展」という言葉も掲示されています。決して洗練されたデザインとは言えませんし、時に同じ写真が繰り返し登場し、キャプションの事実誤認や後にデータが新しくなったものもあります。それらも含めて、表現すること、伝えることの根源を示すような、福島さんの思いが込められたパネルをそのまますべて展示することが、今回の展示の目的です。
「原爆と人間の記録」には、「平和都市」である広島・長崎が戦後に置き去りにしてきた被爆者たちの姿が写し出されています。「ピカドン」は爆心地から1.6kmの地点で被爆した江波の漁師・中村杉松さんとその家族の貧困の生活を記録したシリーズで、1961年に刊行した写真集が日本写真批評家協会賞特別賞を受賞するなど、報道写真家・福島菊次郎を誕生させた記念碑的な作品です。「原発が来た」は、瀬戸内海の祝島の原発反対運動を最初期の時点から記録した貴重なシリーズです。
丸木夫妻の《原爆の図》とあわせて、この70年間における私たちと核被害のせめぎあいの歴史を、あらためて等身大の人間の感覚で追体験して頂けると、さいわいです。


福島 菊次郎
1921年、山口県下松市生まれ。敗戦直後の広島で被爆者家族を10年にわたり撮り続けた作品『ピカドン ある原爆被災者の記録』で、1960年に日本写真家評論家賞特別賞を受賞。上京後も三里塚闘争、ベトナム反戦市民運動、全共闘運動、自衛隊と兵器産業、公害問題、若者の風俗、福祉問題、環境問題など時代を象徴する数々の事件を写真に収め、中近東、アラブ、ソビエト連邦などでの長期取材もおこなった。その後、無人島での自給自足生活を経て、再びカメラを手にする姿は、2012年公開のドキュメンタリー映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』に収録されている。著書・写真集多数。1989年以来、全国600会場に写真パネルの貸出を行ってきた。


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