企画展終了
開催日:2020 年 11月 7日(土)- 2021 年 1月 24日(日)
内田あぐり VOICES いくつもの聲
このたび、原爆の図丸木美術館では、「内田あぐり VOICES いくつもの聲」を開催いたします。
丸木位里、丸木俊の共同制作「原爆の図」誕生から70年という節目に、現代日本画を代表する内田あぐりの展覧会を開催することになったのは、内田が近年、絵画素材・技法研究の活動を通じて、「原爆の図」や「沖縄戦の図」に関心を寄せ続けてきたことがきっかけです。とりわけ、位里が試みた水墨表現の実験性については、今日の作家へと受け継がれてきた表現の根幹を成すものと強く共感しています。
また内田は、絵画において身体をテーマに人間存在の根源を探求し続けてきた画家であり、その眼差しは、位里と俊が積み重ねてきた絵画の主題にも通底しています。
今展では、導入部において、内田と位里、そして内田と俊の、それぞれの人間表現が呼応しあう展示空間を形成します。そして大展示室では、内田が本展のために制作した横8メートルに及ぶ新作を発表します。また、同じ空間に半世紀以上前に描かれた位里の抽象性の高い絵画を配置します。
こうした試みは、時代を超えて受け継がれる画家の表現の系譜を再考し、多層的に響き合う芸術的な対話の可能性を示す機会になるでしょう。それは内田の絵画を歴史的な時間軸に位置づけると同時に、「原爆の図」をはじめとする位里と俊の絵画に再び命を吹き込み、今日的な解釈の可能性を拓くことでもあると考えています。
助成 公益財団法人 花王芸術・科学財団、公益財団法人 朝日新聞文化財団
協力 武蔵野美術大学 美術館・図書館
内田あぐり(うちだ・あぐり)
1949年、東京に生まれる。1975年、武蔵野美術大学大学院日本画コース修了。1993年、文化庁在外研修員として渡仏。2003-04年、武蔵野美術大学在外研修員として渡米。個展、企画グループ展などで作品を多数発表、近年では2019年「内田あぐり―化身、あるいは残丘」(武蔵野美術大学 美術館・図書館)、2020年「生命のリアリズム:珠玉の日本画」(神奈川県立近代美術館 葉山)で特集展示を開催。1993年「今日の日本画―第12回山種美術館賞展」で大賞、1999年「現代日本絵画の展望展」でステーションギャラリー賞、2002年「第1回東山魁夷記念 日経日本画大賞展」で大賞受賞。2019年、第68回神奈川文化賞受賞。武蔵野美術大学名誉教授。
内田あぐりWEBサイト http://www.aguriuchida.com/
WARAKU WEB 画材で魂の陰影を読み取る。現代へ引き継がれる日本画の奥深き表現に注目!現代日本画家・内田あぐりインタビュー
「内田あぐり VOICES いくつもの聲」記録集
A5判、40ページ
内田あぐりの書下ろしテキストや、会場写真を多数掲載しています。
テキスト:内田あぐり、岡村幸宣
会場撮影:内田亜里
デザイン:渡邉翔
本体300円+送料430円
「生命のリアリズム-珠玉の日本画」のご案内
本展の会期中、神奈川県立近代美術館 葉山では「生命のリアリズム-珠玉の日本画」(2020年10月10日 – 2020年12月20日)を開催しています。近・現代の日本画家たちの名品約60点を紹介。丸木位里の《松韻》(1965年)、丸木スマの《簪》(1955年)も展示され、新作も含めた内田あぐりの特集展示もあります。