企画展・イベントExhibition & Event

企画展終了

開催日:2021年7月17日(土)― 9月5日(日)

白川昌生展 ここが地獄か、極楽か。

私は90年代ごろに太平洋戦争についての作品を作っていた。作品は東京では発表されていないし、多くの人に知られることもなかった。また2000年頃にも同類の作品を作っていた。これも同様であった。2021年の現在、太平洋戦争に関係する作品を作り、発表する意味が、以前よりも大きくなったと思うようになった。それは、いまこそ戦後に作られた民主主義を守り、作り上げていくためだからである。― 白川昌生

白川昌生《太平洋戦争敗戦記念碑 プラン1》(2015)

白川は1948年に北九州で生まれ、70年代にはドイツ・フランスに渡り美術や思想を学びました。そして帰国後は群馬県を拠点にしながら、多面的な芸術実践を続けています。白川の実践とは、近代化や都市化が創りだす芸術の価値観や美術史そのものに対して社会的・政治的な批判を投げかける試みから、ローカル/地域に根ざす文化と歴史を紐解こうとする活動まで、幅広く展開しています。それらは彼自身の経験と、彼が影響を受けた思想を基盤としています。
そのなかでも本展覧会では、太平洋戦争を描いた《戦争地獄図》(2003)、そして《太平洋戦争敗戦記念碑 プラン1》(2015)など一連のドローイング作品を含む、白川が戦争を主題として取り入れながら制作した作品と、本展覧会のために新たに制作された作品群を発表します。

白川昌生《敗戦70年代のモニュメントー モデル彫刻 リトルボーイとファットマン》(2015)

「まったく、クソッタレです。」 これは白川の口癖である。白川は、沖縄で辺野古新基地建設をめぐるニュースを目にした時や、オリンピック開催に向けた政府による横暴が報道されるなど、いわば権力による理不尽な出来事を前にすると、必ずと言っていいほどこういった悪態をつく。白川昌生の作品は一見するとシンプルに構造化された造形作品が多いが、その幅広い芸術実践–彫刻、絵画、アクション(行為)、著作、時にはお祭りの主催—の根底には、反骨的で揺るぎない批判の精神と態度がある。
 戦争をはじめとする人間が引き起こした悲劇と、その悲惨さを生涯をかけて描き続けた丸木夫妻の作品には、「地獄」を描いたものがあるという。現在はブルガリアの美術館に所蔵されているその作品群を、残念ながら私自身は見たことがない。だが、丸木夫妻のその後に生きる私たちが、彼らから未来に向けて引き継いでいなかくてはいけないものとは、戦争と、その後に更新され続けてきた悲劇を引き受け、今あるこの「地獄」に対峙し続けることではないかと思うのだ。
本展覧会の目的は、アーティスト白川昌生がこれまでに向き合い続けてきた「戦争」をふまえ、その戦争の先にあるクソッタレなこの世の「地獄」を見据えることにある。―居原田遥(キュレーター)

企画協力: 居原田遥(キュレーター)

白川 昌生(しらかわ・よしお)
1948年福岡県に生まれる。1970年に渡欧、ストラスブール大学文学部哲学科にて哲学を専攻。1974年、パリ国立美術学校入学、1981年、国立デュッセルドルフ美術大学を卒業。帰国後は群馬県を拠点にアーティスト活動を続けている。主な展覧会に「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」(アーツ前橋、2019)、「百年の編み手たち – 流動する日本の近現代美術 – 」(東京都現代美術館、2019)、個展「制作過程」(rin art association、2018)、個展「白川昌生 ダダ、ダダ、ダ 地域に生きる想像の力」(アーツ前橋、2014)、「群馬の美術2017─地域社会における現代美術の居場所」(群馬県立近代美術館、2017)、「ミュージアムとの創造的対話 vol.1 – MONUMENT」(鳥取県立博物館、2017)、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県、2016)「あいちトリエンナーレ2019」(愛知県、2019)。また著作に『西洋美術史を解体する』(水声社、2011)、『贈与としての美術』(水声社、2014)、『美術・神話・総合芸術―「贈与としての美術」の源へ』(水声社、2019)がある。


■白川昌生個展ミニカタログ販売

白川昌生個展「ここが地獄か、極楽か。」のミニカタログを販売しています。
会田誠と白川昌生の対談を収録しているほか、執筆は白川昌生、居原田遥、福住廉、岡村幸宣。写真は木暮伸也。
オンライン販売はこちらから。税込1000円、送料別途。
https://ihaharu.official.ec/
丸木美術館では特別割引で税込800円にて販売しています。

■オンラインパフォーマンス: 白川昌生「追悼碑を建てる」

開催中の白川昌生個展「ここが地獄か、極楽か。」に関連して、白川昌生によるオンラインパフォーマンス「追悼碑を建てる」と、本展に関するアーティスト・トークを開催しました。

日時:8月15日(日)15:00〜16:00

丸木美術館YouTubeチャンネルにて、オンラインパフォーマンスと、白川昌生と本展企画協力キュレーターの居原田遥によるトークを収録した動画をご覧になれます。


展覧会 白川昌生展 ここが地獄か、極楽か。 居心地の悪さ突き付け=評・高橋咲子
―2021年8月25日付『毎日新聞』夕刊(WEB版有料記事)

「白川昌生個展──ここが地獄か、極楽か。」を観て=柿木伸之
―2021年8月29日 Flaschenpost

企画展・イベントトップへ