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開催日:2023年3月1日(水)~ 4月9日(日)
特別展示 東京大空襲・記憶の色を保存する「炎と灰のモンタージュ」尾形純展
「空襲の色見本・記憶の色を保存する」 尾形純の作品と制作
終戦からもうじきに80年という年月が流れている。ロシアが始めた戦争は不穏な時代の幕開けとなり、これをきっかけに敗戦した日本の過去の惨事を話し合う家族がいたのではないだろうか。
戦時中に疎開先から真っ赤に燃える東京大空襲の空を目撃した母親からの証言や記憶を頼りに、それを作品にするという戦時中の物語の制作を始めたのは、画家であり絵画修復家の尾形純だ。母親の記憶を頼りに、真っ赤に燃え上がる空襲の空と、空襲後に焼け野原となった東京の景色を表現するという試みだ。それは母親の記憶の景色を説明するような「風景画」ではなく、ここでは記憶してきた「色」を丁寧に取材して捉え、「記憶の色」をテーマに母親の「記憶の色を保存する」ということを制作の軸としての発表となった。
作家は「実際に見た人の記憶を手がかりに炎の空を制作するのは容易ではなく、単なる創作表現またプロパガンダのような戦争画とは違う、リアルな色の再現を如何にして進めるか、という試行錯誤から始まった制作だった」と語る。母親へのインタビューや、机で向き合いながら試作を繰り返し、さながらモンタージュ写真の作成のようなプロセスにより、具体的な色にフォーカスしていった。それは、母親の記憶の中にある疎開先の飯能から見た「東京大空襲の炎の空」を題材にした作品と、疎開先から帰郷して遭遇した「焼け跡の灰色となった街」当時の住居だった代田橋の光景をテーマにした作品という2つの世界観を表現するに至った。母親の記憶である空襲の被害を時間軸として表現し、説明ではない「炎色と灰色」の記憶という戦争被害を色として記録した絵画展となる。会場では記憶の色を探るべく作られた数々の試作や当時のドキュメント写真なども展示される。すべての展示をご覧いただくことで「モンタージュ効果」のような視覚的な説得力を得られないかという作者の試みとなった。
また作者は「この展示が母の体験した戦時下の物語に寄り添う挿絵のようになれば、成功なのだろう。展示を見終わった時、作品をご覧いただいた方々の心の中にも戦争の炎として映し出され、1人の少女が戦時下を過ごし、心に焼き付いた「記憶の色」が皆さんの心の中でも共有されないかと祈り願っています」と結んだ。
協力 公益財団法人 政治経済研究所付属 東京大空襲・戦災資料センター 、公益財団法人 東京都慰霊協会
尾形純 略歴
1962年 東京生まれ
1995 東京藝術大学大学院美術研究科修了
1997~98 文化庁在外研修にてニューヨーク留学
RUSTIN LEVENSON ART CONSERVATION ASSOCIATES, LTD. にてインターン
[近年個展]
2017 Art in Living -尾形純展-(オリエ アートギャラリー・東京)
2018 “IMAGE DE FLEUR 花” Jun Ogata solo exhibition(Y2ARTS・シンガポール)
花筏(ハナイカダ) 尾形 純 新作展(Tobin Ohashi Gallery・東京)
2019 尾形 純 展 -仮山・KAZAN-(永井画廊・東京)
2022年 「BLOOM IN GARDEN」− jun ogata solo exhibition −(WALLS TOKYO・東京)
[グループ展等]
2019 VOICES OF THE FUTURE(Y2Arts・シンガポール)
“Black and White Exhibition”(Tobin Ohashi Gallery・東京)
ベトナム政府主催「アジア代表作家による秀作展」ハノイ・ベトナム2019(Vincom center for Contemporary Art・ベトナム)受賞
1991 武蔵野美術大学卒業制作優秀作品展・優秀賞
2004 ビエンナーレ KUMAMOTOⅡ・熊本市長賞
2006 ARTEX New York 2006・奨励賞
2015 “Griffin Gallery Open” Winsor & Newtonペインティングプライズ・ファイナリスト
(Griffin Gallery・ロンドン)
近年ではホテルやレジデンス、レストランなどのパブリックスペースへのアートの制作に注力している。
[コミッションワーク・パブリックコレクション]
琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ、リッチモンドホテル 姫路 、相鉄フレッサイン 東京六本木 、厲家菜 銀座 、シェラトン都ホテル東京 、グランフロント大阪 オーナーズタワー 、医療法人財団 蔦の木会 南晴病院 等々