企画展終了
開催日:2018年7月14日(土)~9月9日(日)
追悼・儀間比呂志 沖縄を描き続けた版画家
2017年4月11日、沖縄を描き続けた版画家の儀間比呂志が逝去しました。
儀間は、1923年に沖縄県那覇市に生まれ、18歳から約3年間を当時日本統治下にあった「南洋群島」テニアン島で過ごしました。その後、徴兵検査のため沖縄に戻り、出征。海軍に入隊し、神奈川県横須賀で敗戦を迎えました。戦後の沖縄は米軍政下にあったため、復員列車の終着点であった大阪に生活の基盤を置くことになります。
そして大阪市美術研究所で洋画を研修後、上野誠に木版画を学び、1950年代から沖縄の人びとの暮らしや祝祭、沖縄戦、米軍基地問題などをテーマに作品を発表していきました。
今展では、立命館大学国際平和ミュージアムの協力により、同館が所蔵している儀間の版画作品から45点を展示します。
沖縄戦をテーマにした芸術表現は、決して多くありません。その数少ない例が、丸木位里・俊夫妻の共同制作《沖縄戦の図》や、儀間の木版画や油彩画・絵本原画です。どちらも実際に沖縄戦を体験していない、外からの視点で表現された作品であることが、過酷な地上戦となった沖縄戦の傷の深さを表していると言えるのかもしれません。
丸木位里は「沖縄を描かなければ、戦争を描いたことにならない」と語りました。儀間は、その沖縄戦に向き合い続け、描き、伝えることに生涯を尽くしました。
儀間の作品を丸木美術館で多くの方にご覧いただくことは、現在もなお米軍基地問題に直面している沖縄へ私たちの想像力を広げるために、重要な意味を持つことでしょう。
会期中のイベント
オープニングトーク
出演 新川明(ジャーナリスト)、豊見山愛(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)
7月14日(土)午後2時15分 参加500円(入館料別途)
儀間比呂志とともに絵本や詩画集の刊行を手がけ、ジャーナリストとして沖縄の独立問題などを長く研究し続けている新川明さんと、「儀間比呂志の世界」展(沖縄県立博物館・美術館、2018年7月13日~2019年1月6日)の担当学芸員である豊見山愛さんを沖縄からお招きし、「儀間比呂志と戦後の沖縄」をテーマに語っていただきます。
連携企画
沖縄県立博物館・美術館コレクション展 儀間比呂志の世界
2018年7月13日-2019年1月6日 沖縄県立博物館・美術館