特別展示 大逆事件

企画展「望月桂 自由を扶くひと」にあわせて、5月末頃まで、1階常設展示室で丸木位里、丸木俊共同制作《大逆事件》を3年ぶりに特別公開しています。
望月桂は長野県の明科(現在の安曇野市)の出身で、大逆事件の発端となった宮下太吉の爆弾製造・実験の事件があった場所の近くで生まれ育ちました。この事件は青年だった望月にも影響を与え、戦後には地元地域で大逆事件の調査や研究に取り組んでいたようです。
大杉栄らと親しく交流し、大正期の革新的な大衆芸術運動を展開していた望月桂の展示とあわせて、位里と俊が最晩年に取り組んだ、近代日本の国家暴力の重要な原点のひとつというべき主題の作品も、ぜひご覧ください。
丸木位里は、『丸木美術館ニュース』(第31号、1989年3月)に、次のように記しています。
たいしたことでもなかったのに、大げさに云い考えてやった事件であるということは、その後色々なものに書かれ、云われている事です。今はかなりのことを云っても考えても、それでどうこうということはありません。それだけ多くの人が色々な事を考え、云っています。それだけ人民が力を持ったということです。とにかくこの作品については、どういうふうに見てもらえるか全然わかりませんが、この幸徳秋水の大逆事件だけは今日の問題として一遍も二遍も登場してもらって、皆さんと考えてゆこうではありませんか。