6月22日 第16回戦争社会学研究会大会シンポジウムのお知らせ
2025年6月21日(土)~22日(日)に早稲田大学早稲田キャンパス16号館で開催される「第16回戦争社会学研究会大会」のシンポジウム「原爆研究を拓く──「原爆アート」を手掛かりとして」(22日13:30-16:00)にて、当館の岡村幸宣学芸員が報告を行います。
以下は大会ウェブサイトからの抜粋です。お申込みなどの詳しい情報は、同ウェブサイトをご確認ください。
https://scholars-net.com/ssw/archives/1362
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シンポジウム「原爆研究を拓く──「原爆アート」を手掛かりとして」(13:30-16:00)
◉趣意
2025年、原爆投下から80年をむかえる。特に前年の被団協のノーベル平和賞受賞もあり、原爆研究がより注目を集める年となることが予想される。しかし、原爆研究の対象と方法については、どこか“お馴染み”のものになってきたように感じられることがしばしばある。つまり、原爆に関わる対象(被爆者の語りであったり、モニュメントであったり、メディア表象であったり・・・)と、方法(ライフストーリーであったり、歴史社会学であったり、言説分析であったり・・・)が、どこか固定化され、“なんとなく予想ができる”ものになっているのである。
無論、これは原爆研究の豊かな蓄積に因るものであり、従事してきた研究者たちに最大限の敬意が表されるべきである。だが、本シンポジウムでは、それら“お馴染み”の原爆研究の対象と方法をなぞるというよりは、新しいフィールドを積極的に開拓してみたい。いわば、“原爆×〇〇”を提示する試みである。特に本シンポジウムでは、“原爆×アート”の領域を(手探りながら)開拓してみたい。
周知のように、多くのアーティストによって原爆をめぐるアート実践が試みられてきた。丸木位里・丸木俊の大作「原爆の図」は国内外で衝撃を与えた。近年の例を挙げるなら、広島の路面をフロッタージュの手法で擦りとり、広島の記憶を掬い取る、岡部昌生のアート実践や、Chim↑Pomの原爆に関する一連のパフォーマンス活動「広島!」展、また被爆者の証言をデータ化・数値化した「声紋」を無数になぞり、書写して作品化した竹田信平の「α崩壊」などである。
こうした「原爆アート」とも言うべき様々な実践については、これまで戦争社会学が十分に受け止めてこなかった分野である。「原爆アート」は社会に何をもたらし、どのような展開を見せてきたのか。実践者からの報告や、現場での観察、研究者による考察を通して、原爆をめぐるアート・表現・情動などの観点から戦後史と現在を再考し、原爆研究に分け入る試みとしたい。そうすることで、本シンポジウムが、原爆投下80年の節目の年に、原爆研究の“未来”を拓く一端となれば幸いである。
報告
・岡村幸宣(原爆の図丸木美術館)
・半田颯哉(アーティスト、インディペンデント・キュレーター)
・東琢磨(音楽・文化批評家)
コメント
・仙波希望(札幌大谷大学)
・松永京子(広島大学)
司会:深谷直弘(長崎県立大学)
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