企画展・イベントExhibition & Event

企画展終了

開催日:2018年9月15日(土)〜10月21日(日)

加茂昂 追体験の光景 

追体験の風景2 2017年

9月15日から加茂昂個展「追体験の光景」を開催いたします。加茂は3.11以降、原発や放射能が起こす問題を自身の制作の根幹に据えて制作してきました。近年はレジデンスや展示などで訪れた土地で、その土地の歴史やそこに暮らす人々から様々なことを学び、3.11以降を生き延びる知恵を探してきました。本展は、2017年2月に広島芸術センターで開催された「追体験の絵画」、福島の帰宅困難区域に住んでいた友人をテーマにし、2017年6月に開催された「風景と肖像のあいだ」、熊本県にあるつなぎ美術館のレジデンスプログラムに参加しながら水俣病を取材し、2017年12月に開催された「その光景の肖像」、という3つの個展をまとめ、再構成する展覧会となります。

追体験の風景1 2017年


広島での個展で加茂が試みたのは「市民が描いた原爆の絵」という、被爆者の方々がその被爆体験を描いた絵を模写することでした。加茂は模写という行為を通し、自身とヒロシマの歴史との関係性を模索し、自らの絵画を展開させていきました。模写という行為は、加茂にとって歴史上の出来事であったヒロシマを、被爆者個人の歴史として向き合い直していく行為でした。
福島をテーマとした「風景と肖像のあいだ」では福島の帰宅困難区域に自宅があり、今は千葉県に移住した友人家族の一時帰宅に同行させてもらい、1つの家族から浮かび上がってくる福島の問題を当事者の目線で考えました。
水俣病を取材した「その光景の肖像」では、エコパーク水俣という場所に設置されている水俣病患者の方々が作られた石彫に、水俣病の歴史と現在も続く水俣病の問題を感じとり、それらをモチーフに制作しました。

追体験の肖像2 2017年


この3つの個展に通底するのは、歴史的な出来事を遠くから眺めるだけではなく、当事者個人個人の歴史としての一面を、絵を描くことで捉えてゆこうとする姿勢です。そして、加茂はこの3つの経験から「祈り」と「のさり」という言葉に着目し、放射能汚染という問題に対する向き合い方の糸口を模索します。
加茂は「祈り」という言葉を、「過去と未来の両方に想像力を伸ばし、その両方を繋げて考え続けること」と解釈しています。「のさり」とは熊本地方の方言で、「授かりもの」という意味の言葉です。水俣病患者の漁師の方が、60年近く水俣病と付き合っていく中で、「水俣病も、のさり」という受け止め方に至るプロセスに加茂は衝撃を受けます。
作品を再構成することで、3つの展示に通底するものが浮かび上がるであろう約50点の旧作と、「祈り」と「のさり」、この2つの言葉をキーワードにして制作された新作にもご期待ください。

夜明けと夕暮れのあいだの不知火の光景の肖像
祈りと祈りの痕跡の肖像 2017年 つなぎ美術館蔵
超人為的な光 2018年


加茂 昂(かも・あきら)
1982年東京生まれ。東京芸術大学美術研究科絵画専攻修了。3.11後、「絵画」と「生き延びる」ことを同義に捉え、心象と事象を織り交ぜながら「私」と「社会」が相対的に立ち現われるような絵画作品を制作する。主な展覧会は、「その光景の肖像」つなぎ美術館(熊本/2017)、「風景と肖像のあいだ」island JAPAN(東京/2017)、「追体験の絵画」広島芸術センター(広島/2017)、「土に死を生ける」橘画廊(東京/2016)、「対馬アートファンタジア2016」(長崎/2016)、「航行と軌跡」国際芸術センター青森(青森/2015)、「VOCA展2015」上野の森美術館(東京/2015)、「Wall Art Festival 2014」アシュラムスクール(インド/2014)、「醤油倉庫レジデンスプロジェクト春会期」瀬戸内国際芸術祭2013・小豆島醤油倉庫(香川/2013)、「【絵画】と【生き延びる】」island MEDIUM(東京/ 2012)、など。


会期中のイベント

オープニングトーク
 出演 加茂昂(画家)
  9月15日(土)午後2時15分 参加自由(入館料別途)

トーク「広島と水俣と絵画を通して福島を考える」
 ゲスト 川延安直(福島県立博物館学芸員)
 10月20日(土)午後2時15分 参加自由(入館料別途)


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