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企画展終了

開催日:2017年4月22日(土)~7月17日(月/祝)

本橋成一写真展 ふたりの画家

2017年は、丸木美術館開館50周年という記念の年に当たります。
この美術館は、水墨画家の丸木位里(1901~1995)と、妻で油彩画家の丸木俊(1912~2000)が、夫婦共同制作で描いた《原爆の図》を常設展示する目的で建てられました。美術館には丸木夫妻の住居が隣接しており、絵画の展示空間であると同時に、画家の生活空間でもあるという特異な場所でした。

二人には独特の抱擁力があり、「一種の、世代や階層をこえた共同体」(石牟礼道子)が成立していました。丸木夫妻の後期の共同制作の問題意識は、美術館に集う人たちとのつながりの中から生まれてきたと言えるでしょう。もっとも、ふだんは素朴な暮らしを営む場であり、時には祭りの場でもありました。そうした多様性、懐の深さが、美術館の求心力になっていたのです。

炭鉱やサーカス、上野駅、築地魚河岸など市井の人々の営みを撮り続けていた写真家の本橋成一(1940~)は、1980年代なかばに美術館へ通い、丸木夫妻の日常を数多く撮影しています。本橋は「どんな所でどんなものを食べ、どんな話をしているのか。そして、どのように絵を描いているのか。「反戦画家」として知られている丸木位里・丸木俊ではなく、さらにその奥に広がる位里さん、俊さんの世界を知りたかった」と記しています。

実際、共同制作の現場だけではなく、畑仕事、飼い犬やヤギと戯れる姿、囲炉裏をかこんで食事をする光景など、本橋がカメラを向けたのは、二人の画家の生き生きとした暮らしの風景でした。

美術館開館から半世紀が過ぎてもなお、《原爆の図》の力強い表現は力を失わず、その鋭い問題意識は、今も続く「核の時代」に想像力を拡散させます。その哲学の根源にある丸木夫妻の生命の営み、そして丸木美術館という場の意味を、本橋の写真によって見つめ直し、未来に向けての礎にしていきたいと考えています。

主催: ふたりの画家展実行委員会
共催: 原爆の図丸木美術館、ポレポレタイムス社
助成: 公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、公益財団法人朝日新聞文化財団
協力: 株式会社写真弘社


本橋 成一 Seiichi MOTOHASHI
写真家・映画監督 東京生まれ。
1968年「 炭鉱〈ヤマ〉 」で第5回太陽賞受賞。95年『無限抱擁』で日本写真協会賞年度賞、写真の会賞を受賞。98年『ナージャの村』で第17回土門拳賞受賞。
主な個展に「本橋成一 ナジェージダ―希望」東京都写真美術館(2002)、「ナジェージダ〈希望〉」サンクトペテルブルク ロシア国立図書館ギャラリー・ロシア(2004)、「在り処」 IZU PHOTO MUSEUM(2016)など。
ドキュメンタリー映画「ナージャの村」(1997)、「アレクセイと泉」(2002)、「ナミイと唄えば」(2006)、「バオバブの記憶」(2009)を監督。2015年に最新作「アラヤシキの住人たち」を公開。
主な写真集に『ナージャの村』(平凡社、1998)、『アレクセイと泉』(小学館、2002)、『屠場』(平凡社、2011)、『上野駅の幕間』(平凡社、2012)、『サーカスの時間』(河出書房新社、2013)、『炭鉱〈ヤマ〉』(海鳥社、2015)、『無限抱擁』(西田書店、2016)、『在り処』(NOHARA、2016)、『築地魚河岸ひとの町』(朝日新聞出版、2016)などがある。


会期中のイベント

本橋成一×小室等対談「位里と俊 ふたりの画家を語る」
小室等コンサート
○5月5日(金/祝)午後1時 丸木美術館50周年開館記念日
 ※入館料+500円、当日のみ森林公園駅南口より午前11時半、12時半に送迎車が出ます。

映画「ナージャの村」上映/「本橋成一2017チェルノブイリ再訪ドキュメント」上映/アフタートーク
○5月20日(土)午後1時
 「ナージャの村」:1997年作品 企画・監督=本橋成一、製作=神谷さだ子・小松原時夫、撮影=一之瀬正史、編集=佐藤真、音楽=小室等、語り=小沢昭一、118分。
 アフタートーク 聞き手:柿木伸之(哲学/広島市立大学)
 ※入館料+1000円、共催:原爆文学研究会

映画「HELLFIRE:劫火-ヒロシマからの旅-」上映+監督アフタートーク
○6月11日(日)午後2時
 1988年作品 監督=ジャン・ユンカーマン、製作=ジャン・ユンカーマン/ジョン・W・ダワー、出演=丸木位里/丸木俊 、日本語版製作=山上徹二郎、翻訳=袖井林二郎/石川保夫、58分。
 ※入館料+1000円、当日は森林公園駅南口より午後1時に送迎車が出ます。


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