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企画展・イベントExhibition & Event

企画展終了

開催日:2017年2月7日(火)~4月9日(日)

美しければ美しいほど The more beautiful it becomes

嘉手苅志朗 interlude  2015年

沖縄の風景が美しければ美しいほど、やさしければやさしいほど、沖縄戦の惨劇は胸をえぐる。
『おきなわ しまのこえ』丸木俊のテクストより

本展は、現在の沖縄の状況をそれぞれの観点から伝える展覧会です。
はじめて丸木夫妻の絵を目にしたのは、私がまだ小学生の頃。その絵とは、沖縄県の佐喜眞美術館にある《沖縄戦の図》です。描かれているのは、丸木夫妻が想像した沖縄戦。美しかったはずの沖縄が泥と血にまみれ、死体と暴力で埋め尽くされた様子です。幼い頃から私は何度もこの絵を見たことがありますが、この《沖縄戦の図》を目にするたびに、経験していないはずの沖縄戦に強い恐怖を抱かずにはいられない。丸木夫妻がこの絵を描いたことで成し得た「沖縄戦を伝える行為」とは、今日まで引き継がれるべきだと強く思います。
 
さて、彼らが《沖縄戦の図》を描いてから三十年あまりが過ぎた現在。今日の沖縄の状況を伝える情報が、人々にきちんと届き、そして受容されているとは思えません。沖縄県北部に位置する高江ではヘリパッド基地の建設が強行され、辺野古では海上基地の建設が進行しています。反対の声をあげる人々に対し、時に国は暴力をふるい、排除を強います。この状況が全国報道で映し出されることは殆どありません。

沖縄の風景は今でも、あるいは現在だからこそ優しく、そして美しく見えるのだと私は思います。それは、かつての丸木夫妻が目にし、耳にした沖縄から、どのように変容したのでしょうか。今日ここから、私たちは沖縄の何を見て、何を聞き、伝えることができるのでしょうか。

居原田 遥


参加作家: 嘉手苅志朗、川田淳
協力: 佐喜眞美術館、Barrack、木村奈緒、西尾祐馬
イベント共催: 早稲田大学メディアシティズンシップ研究所
企画: 居原田遥

川田淳 生き残る 2016年

嘉手苅 志朗 Shiro KADEKARU
1985年沖縄県生まれ。2014年沖縄県立芸術大学大学院絵画専修修了。近年では歌や既存の小説をモチーフにして、自身の出身地でもある沖縄を背景に虚構的な映像を制作。主に「群馬青年ビエンナーレ2015」(群馬県立近代美術館、2015年)、「社会と芸術」(浦添市美術館、2015年)「VOCA展2016」(上野の森美術館、2016年)、the5th Taiwan International Video Art Exhibition(鳳甲美術館、2016年)などに参加。

川田 淳 Jun KAWADA
1983年埼玉県生まれ。2007年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。IKEAでゲリラ的に作品を制作し発表するものや、マクドナルドで何も注文せずに店員をただ60秒間見つめる作品等、自身の行為を記録したものを主に映像作品として発表。主な個展に「終わらない過去」(東京都、2015年)。近年では他に「DMZ Pilgrimage」(South Korea DMZ Piece-Life Hill、韓国、2015年)などに参加。


会期中のイベント

シンポジウム「沖縄の情報は本当に伝えられていないのか」
 日時:2017年3月26日(日) 15:00-17:00 予約不要・無料(要展覧会チケット)
 登壇者:
 伊藤守(メディア研究/早稲田大学教授)
 津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
 毛利嘉孝(社会学/東京芸術大学教授)
 モデレーター:木村奈緒(フリーライター)
 実施協力:早稲田大学メディアシティズンシップ研究所


artscapeレビュー 福住廉 美しければ美しいほど The more beautiful it becomes

HUFFPOST 木村奈緒 重なり合う「声」から、沖縄を想う展覧会


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