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開催日:2015年4月18日(土)~7月11日(土)

島田澄也展 蒼き昭和時代

囚人の夢 1954年

島田澄也の名が美術史に登場するのは、1952年に東京・小河内村で行った山村工作隊の活動です。建設中のダムが米軍基地の電力源になるとの考えから、日本共産党の指導により展開した文化工作で、島田のほか山下菊二、尾藤豊、入野達弥、勅使河原宏、桂川寛の6人が、ガリ版刷りニュース『週刊小河内』を共同制作するなどの活動を行いました。

近年、1950年代の文化運動を再評価する動きが広がりつつあります。戦争への反省を踏まえ、自らの力で社会を変えていくのだという意志が一般市民に芽生え、「下からの民主化」がエネルギーを発散させた時代。芸術家も「大衆」を意識し、時に政治との距離を接近させながら、多様な活動を展開しました。丸木夫妻の《原爆の図》も、そんな時代のうねりの中にあった作品です。

島田は戦後すぐに丸木夫妻のアトリエで行われたデッサン会に参加。1955年5月には《原爆の図》を携え、山下と秋田県大館市へ赴き「原爆の図展」を開催しています。
やがて造形会社を設立して絵画から距離を置きますが、引退後に再び絵筆をとると、幼少期から戦争を経て戦後にいたるまでを振り返り、200点近くの油彩画に描きました。2.26事件や築地小劇場、東京大空襲、血のメーデー事件、画家仲間の姿など、その豊かな記憶の描写は、写真に残されていない光景も多く、歴史的に重要な意味を持つことでしょう。

今展では、それらの記憶画とともに、1950年代に制作した油彩画《勾留理由開示公判》や《官選(国選)弁護人》などを展示し、文化工作隊で訪れた小河内村や「原爆の図展」で訪れた秋田の風景スケッチ、共同制作によるガリ版刷りニュース『週刊小河内』第1号(豊島区蔵)などの貴重な資料も展示します。戦後70年を迎えた節目の年に、ひとりの画家の視線から見た激動の時代の光景に触れ、ぜひその意味を再発見して頂きたいと思います。


勾留理由開示公判 1954年
官選(国選)弁護人 1954年

会期中の催し物

オープニングトーク
○4月19日(日)午後2時より
 出演:島田澄也(画家)、島田北斗(島田澄也次男、版画家)
 参加費自由(入館料別途)
 画家の島田澄也さんと、ご子息の版画家・島田北斗さんをお迎えし、トークを行います。

1950年代 幻灯上映会
○4月25日(土)午後2時より
 料金=大人1000円、18歳以下500円(入館料別途)
 上映作品=『松川事件 1951』(1951年)/『野ばら』(1952年)/『山はおれたちのものだ』(1954年頃)/『平和のかけ橋 李徳全女史来訪記録』(1955年?)
 トークセッション「1950年代文化運動と幻灯」
 出演:鷲谷花(早稲田大学演劇博物館招聘研究員)、鳥羽耕史(早稲田大学)、道場親信(和光大学)
 協力:神戸映画資料館、人形劇団プーク
 1950年代に、誰にでも作り、人を集めて上映できる映像メディアとして、社会運動の場においても自主製作・自主上映が盛んに行われた幻灯。今回上映する1950年代の幻灯作品は、いずれも社会運動に関連して自主製作されたもので、現場での貴重な記録であるばかりか、その後さまざまなジャンルで活躍したアーティストが、それぞれに創意を発揮した作品としても重要な価値をもつものです。


朝日新聞 昭和を振り返る島田澄也展、丸木美術館で


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