終了
開催日:2021年3月3日(水)~4月4日(日)
特別展示 清野光男展 見える壁/見えない壁
見える壁/見えない壁
古代より人間は生存するために壁を築いてきた。
今の世界は、見える壁と人間の内なる見えない壁が複雑に絡み合い、
非人間的な構造を造りだしている。
人種、宗教、民族の差別と抑圧、そして国家主義、経済優先が壁を増強させ、
様々な暴力が街や村の壁を破壊し多くの人々の命を奪っている。
私たちの周りにある壁には、
人間の暗い歴史と記憶が浸み込んでいるのを感じる。
世界に蔓延する差別と抑圧、核問題、
自然破壊による温暖化、疫病などの不安や恐怖から人々を守るべき壁を、
私達の生き方で構築して行きたいと思う。
2021年1月2日 清野 光男
「福島から/福島へ」と題して、清野光男さんの個展を原爆の図丸木美術館で開催したのは、2014年のことだった。「3.11」以前より描き続けていたMETAL RAIN―金属の雨―と題するシリーズは、核被害の黙示録のように見えた。
「予兆」は、芸術の重要な役割のひとつである。しかし、それは未来を言い当てるという意味ではない。過去の時間の層の中に、人びとの記憶からこぼれ落ちていく何ごとかを発見し、すくい取り、つなぎとめる。その行為が普遍的な意味を獲得したとき、芸術は「予兆」となるのだろう。あれから7年の歳月が流れ、混迷と分断の続く世界にあって、清野さんのまなざしに再び注目したい。
岡村 幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員)
清野光男 略歴
1946年 福島県福島市生まれ。
1971年 武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業(麻生三郎教室に学ぶ)。
主な個展:1987年 紀ノ国屋画廊(新宿区)、1995年 矢吹町ふるさとの森芸術村(福島県矢吹町)、1999年 キッドアイラックアートホール(世田谷区)、2002年 あだたら高原美術館・青(福島県二本松市)、2008~2009年 石の美術館(栃木県那須町)、2014年 原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)。
主なグループ展・団体展:1986~2010年 JAALA展(東京都美術館、川崎ミュージアム)、1991~1995年 WAVE展(世田谷美術館、埼玉県立近代美術館)、2001~2015年 波動展 (矢吹町ふるさとの森芸術村、あだたら高原美術館/福島県)、2005~2017年 今日の反核反戦展 (原爆の図丸木美術館/埼玉県東松山市)、2004~2020年 CAF.N展(埼玉県立近代美術館、仙台メディアテーク)、2008年 CAF.N ラトヴィア展 (リーガ/ラトヴィア)、2011 ・ 2017年 CAF.N金沢展 (金沢21世紀美術館)、2015年 FUKUSHIMAの記憶展 (福島県文化センター)、2016~2020年 九条美術展(東京都美術館、練馬美術館)