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企画展終了

開催日:2021年4月17日(土)-7月11日(日)

金原寿浩展 海の声

明日なき世界 2011年

 10年前のあの日、天と地がひっくり返ったのだ。
 あらゆるものが壊れ、呑み込まれ、押し寄せられ、流れて去ってしまったのだ。安全だと豪語していた核発電所は爆発し、核物質は降り積もり最悪の事態を招き今現在も被害をもたらし続けている。
 あの時皆が被害を受けた人々を我が事のように思い助け合い共に乗り越えようと手を取り合った。私はこれが切っ掛けとなり日本は良い方向へ変わっていくだろうと期待した。しかし何も変わらなかった。むしろ悪化して来てる現在だ。
 敗戦時、軍も、政府も、メディアも誰一人責任を取らずうやむやにしてきた。その悪習は地下水脈のように日本という国の奥深くに流れ続け、核発事故が起きて現在に至っても支援も極端に少なく被害そのものを小さく見せ国や電力会社は責任から逃れるのに必死だ。
 おかげで人々にやっかみや不公平感が広がり支援される側にもする側にも意識のズレが生じ偏見、分断、差別が出てきた。それは核問題だけでなく社会のあらゆる所で渦を巻き日本は思いやりや助け合いの欠片も吹き飛んでしまった。
 まさに3.11は心の底に眠っていたヘドロを吹き上げてしまった。だからこそ何時でも何処でも立ち止まり考えなくてはならない。

金原 寿浩 かねはら としひろ
1962年東京生まれ。95年群馬県桐生市に移住し制作が本格化。2011年東日本大震災発生により、津波や原発事故の被害、沖縄の基地問題などを主題に制作。個展「黒くぬれ!」「それぞれの街で」「海の声」など。原爆の図丸木美術館「今日の反核反戦展」(2017)や、金沢21世紀美術館「もやい展」(2019)、「もやい展 2021 TOKYO」(2021)などに参加している。

桐生鳥瞰図 2016年

夜の森哀歌 2017年


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