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開催日:2023年11月11日(土)午後2時

幻灯『ピカドン―広島原爆物語―』上映・徳川夢声『連鎖反応 ヒロシマユモレスク』朗読の会


◉『ピカドン―広島原爆物語―』
 作画:赤松俊子・丸木位里 製作:星映社 配給:日本光芸株式会社 モノクロポジフィルムに彩色
 赤松俊子・丸木位里の絵本『ピカドン』の幻灯(スライド)版だが、白黒印刷の原作に対し、幻灯は彩色されており、視覚性はかなり異なる。また、原作の半分以上の場面を割愛したうえに、場面の順序を入れ替え、付属の説明台本のテキストにも原作にはない文言が入るなど、独自の翻案がかなり加わっている。
 現存している説明台本及びフィルムに製作年月日の記載はないが、1952年から55年の間の製作と推定される。製作を担当した星映社は、記録映画作家の谷川義男が主宰していた幻灯製作会社で、他にはソ連の社会や文化、科学技術を紹介する幻灯のシリーズを製作・配給していたことが判明している。

◉徳川夢声「連鎖反応 ヒロシマユモレスク」
 (初出『オール読物』昭和25年3月特別号)
 無声映画期は東京を代表する活動写真弁士として活躍した徳川夢声は、映画がトーキー化して活動弁士としての仕事が減った後も、漫談、映画・演劇俳優、ラジオ出演、文筆など、各方面で多芸多才ぶりを発揮した。
 夢声が薄田研二、丸山定夫、藤原釜足らと共に立ち上げた劇団苦楽座を前身とする劇団桜隊は、広島で原爆投下に遭い、現地にいた全員が被爆死した。直接原爆を体験してはいない夢声が、原爆投下直後の広島市街をさまよい歩く鉄道職員を主人公とする小説「連鎖反応 ヒロシマユモレスク」を発表した背景には、盟友だった丸山定夫をはじめとする舞台仲間を原爆で失った体験があり、同時期には、桜隊の原爆殉難碑(1952年に東京・五百羅漢寺、55年に広島市にそれぞれ完成)を建立するために奔走してもいた。
 原爆文学としてはあまり知られてこなかった本作だが、活動弁士・片岡一郎氏が、そのユニークな意義を再発見するべく、2022年来、各地で朗読会を開催している。

解説:鷲谷花(大阪国際児童文学振興財団特別専門員)


「『ピカドン』とその時代」展関連企画
共催:令和5年度科学研究費助成事業(基盤研究B)冷戦前期・東アジア英米文学のジオポリティックス(研究代表者:吉原ゆかり)
参加費無料(美術館入館料別途)

出演 片岡 一郎 (活動弁士)
1977年東京生まれ。2001年日本大学芸術学部演劇学科を卒業、2002年活動写真弁士の第一人者である澤登翠に入門。澤登門下総領弟子。レパートリーは日本映画・洋画・中国映画・アニメ・記録映画と多岐に渡り、総演目数は約350作品。バイオリン演歌を福岡詩二、紙芝居を秋山呆栄より指導を受ける。日、米、独、加、豪、克、伊など22ヵ国で公演。その他にも執筆や舞台演出、声優業もこなす。失われたフィルムの発掘にも尽力し『Our pet』『私のパパさんママが好き』『忠臣蔵』などのフィルムを発見。周防正行監督作品『カツベン!』では出演の他、主要キャストへの実演指導。NHK大河ドラマ『いだてん』にも弁士役で出演。赤石路代の漫画作品『めもくらむ 大正キネマ浪漫』では時代考証で協力。2020年、弁士の歴史を詳述した『活動写真弁史』(共和国)を刊行。


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