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企画展終了

開催日:2019年2月2日(土)~3月24日(日)

原田裕規 写真の壁:Photography Wall 

助成:公益財団法人アイスタイル芸術スポーツ振興財団

 原田裕規は、ラッセンや心霊写真など、社会的には「とるにたらない」とされているにもかかわらず、人々が嫉妬や恐怖などといった強い感情を向けてしまう事象にスポットを当て、近代社会の無意識を炙り出すかのようなプロジェクトで知られている美術家です。
 原爆の図 丸木美術館で開催される「写真の壁:Photography Wall」は、原田が2017年から回収を続けている膨大なイメージ(写真)が、これまでとは全く異なる手法で展覧される初めての機会となります。

 広島で被爆した祖父を持つ原田は、広島への原爆投下という惨事にある一定の当事者性を覚えながらも、決して当事者を自認することはできない「越えられない壁」に直面していました。
 かつて広島で起きた出来事について、遺された写真や伝聞として二次的な体験をいくら積み重ねたところで、そこには容易に想像力をしのばせることのできないイマジナリーな壁があったのです。

 しかしあるときから、こうした壁は原田のみが直面しているものではなく、かつて起きた惨事に対峙するすべての人々、ひいては被爆しながらも(爆心地から物理的/時間的に距離が離れていたがために)生き延びた被爆者の中にも共通して存在するものではないかと考えるようになりました。
 なぜなら、惨事の核心で「爆心地」を目撃した眼は、原爆が炸裂した瞬間にすべて消滅してしまっているからです。そうであるがゆえに、原爆投下の数日後に広島へ足を踏み入れながらも、見事に《原爆の図》を描き上げた丸木位里・俊の仕事には意味があると言えるのではないでしょうか?

 本展では、このイマジナリーな壁が「写真の壁」に見立てられ、丸木美術館に出現します。
 その規模は、およそ6メートルに達する企画展示室の天井近くにまで達し、私たちがイメージ(写真)のまとまりに対していかなる関係性を構築しうるかについて、静かに問い掛けてくるでしょう。
 さらに、近年制作・発表された(心霊)写真をテーマにした新旧作品も併せて展示される予定です。
 みなさまぜひ、原田の新しい展開をご高覧ください。

「写真の山(仮)」2018年7月、推定およそ10000枚の写真(当時)、サイズ可変

原田 裕規
美術家。社会の中で取るに足らないとされている「にもかかわらず」広く認知されているモチーフを取り上げ、議論喚起型の問題を提起する作品で知られる。
作品の形態は絵画、写真、展示(インスタレーション/キュレーション)、テキストなど。代表的なプロジェクトに「ラッセン」や「心霊写真」を扱ったものがある。主な個展に「心霊写真/ニュージャージー」(Kanzan Gallery、2018年)、編著書に『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社、2013年)、企画に「ラッセン展」(CASHI、2012年)など。
1989年 山口県生まれ
2013年 武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒業
2016年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了
2017年 文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてニュージャージー(アメリカ)に滞在
原田裕規ウェブサイト

展覧会特設サイト


会期中のイベント

オープニングトーク
日時:2月2日(土)14時開始 参加自由(入場料別途)
出演:原田裕規(美術家) 聞き手:岡村幸宣(丸木美術館学芸員)

トークイベント「写真を展示すること/しないことについて」
日時:2月17日(日)14時開始 参加自由(入場料別途)
出演:きりとりめでる(現代美術・写真)× 原田裕規(本展作家)

椹木野衣×原田裕規トークイベント
日時:3月17日(日)14時開始 参加自由(入場料別途)
出演:椹木野衣(美術評論家)、原田裕規(美術家)


中国新聞 埋もれる原爆の記憶 表現 被爆3世原田さん 埼玉で作品展


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