企画展終了
開催日:2016年10月1日(土)~11月12日(土)
壷井明 連作祭壇画 無主物 3.11を描く
壷井明(1976年生)は、2011年3月の福島第一原発事故後に飛散した放射性物質を、誰のものでもない「無主物」であるという東京電力の主張を聞き、無責任さに憤って、3枚のベニヤ板に油絵具で絵を描きはじめた。それが「無主物」のはじまりであった。
最初に絵を発表したのは2012年3月11日。場所は国会議事堂前。脱原発デモに参加し、路上に並べた。そのときの画面と、今の画面を比べると、絵はかなり変化している。壷井は、デモや福島の集団疎開裁判に絵を持参し、出会った人たちから聞いた悩みや証言を、少しずつ描き加えていったのだった。「いつ完成するかはわからない。福島の苦悩が続く限り、描き続けたい」と壷井は言った。
2013年2月から4月にかけて、丸木美術館の一室で、特別展示「無主物」が開かれた。たった1点の絵の展示であったが、反響は大きかった。それから3年半の歳月が流れた。「無主物」は連作となり、壷井は街へ出て絵を並べ、道行く人びとに語り続けていた。福島の原発事故は、いまだ終息していない。壷井の制作も終わらない。
今回の展覧会は、「無主物」連作の中間報告である。
会期中のイベント
早川篤雄講演会 「危惧の実像 原発事故は楢葉町をどう変えたのか」
○10月22日(土)午後2時 参加費500円(入館券別途)
福島第一原発から20㌔圏内にあたる楢葉町大谷在。室町時代1395年の開山から620年を数える浄土宗大院山智宝院宝鏡寺第30代住職。1975年福島第二原発設置許可の取り消しを訴える「福島原発訴訟」原告団事務局長を務め、以後40年に渡り楢葉町で反原発運動を展開。最高裁の上告棄却から20年近くが過ぎた2011年3月11日、福島第一原発事故が発生。3月12日午前の避難指示以降避難民となり、それまで運営していた障害者施設の入居者94名をうけもつ身としても原発事故の苛酷さを体験する。
2012年7月、原発廃止を求める宗教者共同声明、呼びかけ人。現在「福島原発避難者損害賠償請求訴訟」原告団長。『無主物』制作のため壷井がこれまで話をうかがってきた福島現地人の一人。
壷井明ギャラリートーク
○10月29日(土)午後2時 参加自由(当日の入館券が必要です)
画家みずからが、「無主物」に描きこんだ現代の福島の「民話」を語る。
岡崎弥保「無主物」朗読
○11月5日(土)午後2時 参加自由(当日の入館券が必要です)
俳優・語り手の岡崎弥保が、「無主物」に添えられた言葉を朗読する。