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企画展終了

開催日:2014年2月11日(火/祝)~3月14日(土)

清野光男展 福島から/福島へ

METAL RAIN 13-B フクシマ 2013年

《METAL RAIN》という意味深なシリーズを制作し続けてきた清野光男さんの仕事が、ずっと気になっていました。
亀井文夫の映画や若松丈太郎の詩、福島県立美術館が所蔵するベン・シャーンの《ラッキー・ドラゴン》……福島と核表現の関わりは「3.11」以前から案外多く、そうした作品を知るたびに、単なる偶然の警鐘だとは思えなくなります。
「3.11」から3巡目の春を迎える前に、私たちは、「福島から」生まれた画家が、どのように「福島へ」視線を向け、描いてきたのかを捉えなおす必要があるのではないでしょうか。「福島から/福島へ」――今展が、福島につながる想像力の橋になることを願います。

岡村幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員)


metal rain 04-c 2004年

現実を視る

少年は恐怖と不安の眼で、薄いグラビア雑誌を食い入るように見ていた。
68年前、人間殺戮のために世界で初めて原子爆弾が投下された、広島・長崎の写真であった。廃墟と化した二つの都市の惨状を撮った写真の数々は、戦争を知らない少年の内に56年経った現在でも心に焼き付いている。
地球環境を破壊し、全ての生命への挑戦は世界のいたる所で繰り返されている現実――戦争、核実験、原発事故、自然破壊、公害……
安全と信じ込まされていた福島第一原子力発電所は、2011年3月11日の東日本大震災によってコントロール不能に陥り、メルトダウンを起こし、爆発を起こし、未来に向って放射能を放散し続ける。遠い時を越え、幾世代もの人々によって引き継がれ、拓かれ培われて豊かな緑の大地に昇華してきた福島の大地が一瞬のうちに絶望の大地に変貌してしまった。
地球の営みによって起こる地殻変動をコントロールすることは不可能でも誤った政治や科学の方向をチェックしコントロールすることは、わたしたちの冷静な判断と粘り強い努力によって可能であると私は信じたい。
暗い過去の時代に戻さない民主主義の根本がそこにある。
写真の中の子供の眼差しが今も私を視ている。

清野 光男

清野 光男 せいの・みつお
1946年福島県福島市生まれ、1971年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業
〈主な個展〉 1977年 サエグサ画廊、1987年 紀伊国屋画廊、1995年 矢吹町ふるさとの森芸術村、1999年 キッドアイラックアートホール、2002年 あだたら高原美術館・青、2008~09年 石の美術館 〈主なグループ展・団体展〉 1986~2012年 JAALA展、1991~95年 WAVE展、1993~2003年 CAF展、2001~13年 波動展、2008~12年 今日の反核反戦展、2004~13年 CAF.N展


会期中の催し物

作家トーク
○2月22日(土)午後2時
出演:清野 光男(画家)+ 岡村 幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員)

対談「芸術と環境」
○3月1日(土)午後2時
出演:清野 光男(画家)+加藤 幸子(作家=1983年1月『夢の壁』で芥川賞受賞)

※いずれも参加自由(当日の入館券が必要です)
 当日は、午後1時に東武東上線森林公園駅南口に丸木美術館の送迎車が出ます。


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